Concept Making

事業構築の基盤 | 強力なコンセプトを作る4つのステップ

Date
December 26, 2024
Writer
michiaki kakuta

強力なコンセプトがあれば、ブランド構築の軸となり、様々な判断の手助けをしてくれます。3C(Customer:顧客、Competitor:競合、Company:自社の強み)をベースに、オリジナリティがあり端的なコンセプト作成について具体的に見ていきましょう。

コンセプト作成には大きく分けて、

- 商品やサービスを企画する際に使う顧客起点のもの
- 企業自体のコンセプトなど、時代を先取るようなもの

の二つがありますが、今回は前者の「商品やサービスを企画する際に使う顧客起点のもの」について解説します。

Customer | 顧客インサイトを想像する

カスタマーインサイトとは、顧客の行動や心理を深く理解し、その背景にあるニーズや問題点を見抜くことです。これにより、顧客が本当に求めている価値を提供することができます。優れたインサイトは、「言われたらそうかも!」と思えるものです。顧客の本音は葛藤の中にあります。「AだけどB」「手間はかけたくないけど、手抜きはしたくない」といった具合です。

共感できつつ、発見があるものを基準に考えていきましょう。

Competitor | 真の競合の見つけ方

カテゴリー、ジョブ、タイムで競合を洗い出し、顧客の不満につながる競合の弱点を見つけます。

タイム :同じ時間を奪い合う競合
 - 例: フィットネスアプリ vs. ストリーミングサービス(Netflix)
 - 説明: フィットネスアプリは、ユーザーの運動時間を狙いますが、同じ時間にユーザーがストリーミングサービスを視聴することもできます。どちらに時間を費やすかが競合するため、これが「タイム」競合です。

ジョブ:同じ仕事をこなす競合
 - 例: フィットネスアプリ vs. ジムの会員プラン
 - 説明: フィットネスアプリとジムの会員プランは、どちらも「フィットネスの維持と向上」という同じ仕事をこなすため、ユーザーがどちらの方法で運動をするかを選ぶ必要があります。これが「ジョブ」競合です。

カテゴリー:同一カテゴリーの競合
 - 例: フィットネスアプリA(MyFitnessPal) vs. フィットネスアプリB(Fitbit)
 - 説明: フィットネスアプリAとフィットネスアプリBは、同じフィットネスアプリというカテゴリーに属し、ユーザーがどのアプリを使用するかを選択します。これが「カテゴリー」競合です。

これらの競合を分析することで、競合が提供していない、または弱い部分を特定し、自社がどのようにそこを埋めるかを考えます。

Company | 自社だけの強みを見つける

次に、自社の強みと差別化ポイントを設定します。これは、ファクト、メリット、ベネフィットの項目に分けて整理します。自社の強みを理解するためには、自社製品やサービスが持つ具体的で測定可能な特性や機能(ファクト)を明確にし、その特性や機能が一般的にどのような利点(メリット)を提供するかを示し、特定のターゲット顧客にとってその利点がどのように特別な価値(ベネフィット)をもたらすかを強調することが重要です。

ファクト(客観的事実)
 - 例: スマートフォンのバッテリー容量が5000mAh
 - 説明: これは、製品が持つ具体的で測定可能な特性です。このスマートフォンのバッテリー容量は5000mAhという明確な数値で示されています。

メリット(一般的な便益)
 - 例: 長時間の使用が可能
 - 説明: バッテリー容量が大きいことにより、スマートフォンは一度の充電で長時間使用できます。これは多くのユーザーにとって価値のある特性です。

ベネフィット(ターゲットに特に強く訴えかける便益)
 - 例: 忙しいビジネスマンが外出先でも充電を気にせずに仕事を続けられる
 - 説明: 特定のターゲットに焦点を当てた便益です。この場合、長時間使用できるというメリットが、忙しいビジネスマンにとって特に有益であることを強調しています。彼らは頻繁に充電を気にせずに、外出先でも安心してスマートフォンを使い続けられます。

3つのCをひとつの文章にまとめる

これまで見てきたカスタマーインサイト、競合分析、自社の強みを活かしたベネフィットの重要性をまとめ、それらを組み合わせたコンセプトの形成がどれほど重要かを見ていきましょう。一つの文章にまとめるには、「あるところに」「しかし」「そこで」「つまり」の構文に当てはめると良いでしょう。

具体例として、オンライン学習プラットフォームを考えてみましょう。

あるところに、忙しい生活の中で効率的に学習したいと考えている学生やプロフェッショナルがいました。しかし、彼らはどのようにして自分のスケジュールに合った学習方法を見つけられるのか困っていました。

しかし、従来の学習プラットフォームや塾は、彼らのニーズに十分に応えられず、固定されたスケジュールや一律のカリキュラムが多く、柔軟性に欠けていました。

そこで、自社は独自の強みであるパーソナライズされた学習カリキュラムと24時間いつでもアクセスできるオンライン学習システムを提供することで手を差し伸べました。これにより、ユーザーは自分のペースで、好きな時間に学習することが可能になりました。

つまり、自社の「いつでもどこでも学べる」という強力なコンセプトという解決策によって、ユーザーは時間や場所にとらわれずに効率的に学習を進めることができ、生活の中での学習の問題から救われたのです。

このように、強力なコンセプトは事業構築の基盤となり、ブランドの成功に不可欠な要素です。これらのステップを踏むことで、オリジナリティあふれる魅力的なコンセプトを生み出すことができます。